重要文化財 旧松本健次郎邸(西日本工業倶楽部)一般公開
北九州市の結婚式場である西日本工業倶楽部。
100年の歴史がある旧松本健次郎邸は重要文化財に指定されている建物で西日本工業倶楽部が年に数回、一般公開している。
旧松本邸は、地元で石炭業で成功した実業家松本健次郎が住宅と迎賓館を兼ねて建てた洋館で外観・室内の意匠がアール・ヌーボー様式でデザインされている。
家具までアール・ヌーボーで製作されている一貫した設計は珍しい。洋館を設計したのは 辰野金吾。東京駅や日本銀行などを設計した明治を代表する名建築家。
アールヌーヴォーとは曲線を多用した様式で円弧がデザインのモチーフになっているデザイン。いろんな洋館を見てきたけどアールヌーヴォー様式は初めて。
旧松本家住宅の一般公開
旧松本家住宅の正面。
辰野金吾と言えば赤煉瓦なんだけど濃緑が鮮やかなハーフティンバーな外観。今までの辰野金吾とは全然違うので楽しみ。

中に入る前に裏手に回ってみた。こっちも素晴らしい。

庭園
庭園の緑と洋館のグリーンが調和して落ち着いた雰囲気。


洋館
館内に入ると曲線が多用されたデザインの数々。
こちらは応接室で木をふんだんに使っている温かい雰囲気。腰壁はかなり高く吸音効果がありそうだ。

ダイニングルーム
曲線が多用されたアール・ヌーヴォーな部屋はシンメトリーな造りになっていてとても美しい。

食器には松本健次郎のイニシャルKM。

階段室は和田三造デザインのタペストリーとステンドグラス。
階段の親柱の装飾は飾り気はないが小気味良い作り。

3枚並んだステンドグラスが洋館の華やかさを演出している。

シンプルな2階は、用度品が展示されていた。

洋館を楽しむポイントのひとつが照明のデザイン。和の天井に洋がうまく調和された照明になっていた。

豪華絢爛な和室。
意外とマントルピースがあっても違和感がなくまとまってる。

陽の光をたっぷりと取り込んでとても明るい。

棟札(むなふだ)には辰野金吾と片岡安のコンビ名がしっかりと残っています。

2階で見つけたアール・ヌーヴォー。
照明のとこがアール・ヌーヴォーのデザイン。

マントルピースにはTOBATAの刻印レンガ。地元の戸畑耐火煉瓦製造のレンガ!?

マントルピースの装飾。

1階の大ホールに鎮座するアール・ヌーヴォーなマントルピース。
旧松本邸の中で一番豪華なマントルピース、すごいゴツくて存在感ありまくる。コンサートの椅子が前に置いてあって正面からうまく撮れなかったのが残念。

一番ステキだった書斎。
書籍棚とマントルピースの曲線っぷりが絶妙なバランスでまとまっている。上にある鏡が部屋に広がりを持たせてくれていい感じ。

出入口の扉の装飾と見事なアール・ヌーボー装飾。

アール・ヌーヴォーを知らないまま見学したので見終わっても「なんかすごいステキ!」て終わってしまったんだけど、今までたくさん見てきた辰野金吾の建築とはぜんぜん違ってた。新しい一面を見れた気がしてとても楽しかった。旧松本邸はずーっと見たかった建築なので感激した。
洋館好きにはもちろんそうでなくてもなんかステキと思える洋館だから機会があったら是非とも見学してほしい。見学できるのは年に数回の一般公開を逃さないように西日本工業倶楽部をチェックしておこう。

旧松本健次郎邸(西日本工業倶楽部) の一般公開メモ
- 説明パネル
洋館でよく見かける説明パネル。撮影ポイントからちょっとだけ端にズラしてほしい。
どまんなかにパネルを置かれるとひたすら読み続ける人が続出で写真撮りにはヤレヤレ…。 - 明るいレンズ
館内は結構薄暗い。レトロな雰囲気でいいんだけど手ブレちゃう。なるべく明るいレンズがいい。 - 広角レンズ
標準レンズだと収まりきらないところ多々。広角レンズがあると便利 - ハシゴしよう
福岡市にある旧日本生命保険株式会社九州支店(福岡市赤煉瓦文化館)も辰野金吾の設計なのでハシゴがおすすめ!
旧松本家住宅の洋館手帖
竣工 | 1910(明治43)年 |
設計 | 辰野金吾 |
建物 | 重要文化財 01864 |
所在地 | 福岡県北九州市戸畑区 |
見学情報 | 西日本工業倶楽部 |