旧前田家本邸 英国チューダー式の洋館
東京駒場にある前田家本邸。
百万石大名だった旧加賀藩主の前田利為侯爵の自邸で1929(昭和4)年に竣工された英国チューダー様式の洋館。
旧前田家本邸は、薄茶色のスクラッチタイル張りの外壁に白い大華石をアクセントとした胴蛇腹を配したデザインはイギリス、チューダー様式の建物。

玄関ポーチを張り出し、南側1階にはテラス、2階にはベランダが設けられています。
外観から圧倒的な存在感。レンガ造りに見えるけどスクラッチタイル。エントランスの幅広で平たいアーチと急勾配の切妻屋根が英国チューダー様式の特徴。
外も中も目一杯、楽しんできました。館内の写真撮影もOKです。
前田家本邸の外観・ベランダ
前田家本邸に入る前に南面に廻ってみました。
ちょうど桜の季節で洋館とサクラのコントラストが見事です。

桜越しのバルコニーがステキ!バルコニーから桜を眺めるとすごくいい眺めが良さそう。ピカピカに磨かれた窓ガラスに桜が美しく写ってます。


ベランダの両脇には、最強のあり平和の象徴である有翼のライオンが邸宅を守っています。是非、見上げてみましょう。

旧前田侯爵邸の館内見学|1階
1階は来賓をおもてなしをする階。
格式が高く、品のある雰囲気があります。
玄関ホール
玄関の先は、大理石の柱が並んでゴージャス。
洋館内をみて回ります。各部屋にはパネルがあって情報が書いてあったので載せておきます。

サロン
玄関を入ってまずある部屋がサロンです。重厚なマントルピースに大きな鏡。そんなに広くはない部屋ですが大きな鏡の効果で広く明るく見えます。独特なシャンデリアも見所です。

玄関ホールに続く、お客様を最初にお通しする待合です。意匠も玄関ホールと共通し、大きな針を見せる天井と、黒緑色の大理石のダブルの柱が重厚さを演出します。チーク材のパネル壁、黒色大理石のマントルピース上に設えた大鏡など、内装も豪華です。南庭に面して、全面にカットガラスをはめた扉としています。
サロンのマントルピースは黒緑色の大理石を使った重厚な造り。

第一応接室
はじめてみた形をしたマントルピースの存在感がスゴイ!白いタイルのおかげで部屋が明るく見えます。床の寄木細工も繊細で女性的な雰囲気のある部屋でした。

侯爵夫人や令嬢のお客様が通されていた応接室です。白いタイルでできた背の高いマントルピースが特徴で、床の寄木細工も華やかさを添えます。当初は、ダマスク柄の壁紙に同じくダマスク柄の黄色いカーテンがかけられており、明るい雰囲気の部屋であったようです。
大客室
客室には、腰壁がありません。天井の縁周りやシャンデリアの地がさりげなくゴージャスです。

お客様に寛いで過ごしていただくための部屋で、部屋のそこここに座り心地の良いソファーやティーテーブルが配され、室内には絵画や美術品、珍しい観葉植物などが飾られていました。黒い大理石のマントルピースの上には記念品が置かれ、ピアノも供えられていました。小客室と同様の備えですが天井の縁回しがより豪華です。
大客室にある黒い大理石のマントルピース

小客室
大客室をそのまま小さくした感じだけど天井の縁周りの装飾がシンプルになっている。マントルピースも小ぶり。

小客室のマントルピース
曲線になっていて可愛い作りをしてた。

大客室と続き間となっていて、必要に応じて引き戸で仕切ることが出来ます。
大客室とはシャンデリアや壁紙の意匠を揃えますが、マントルピースは小ぶりで明るい色調の大理石を用います。南の芝庭に面しては、当時高価であった巨大なガラスの開戸を備えます。
旧大食堂
入った瞬間、息をのむ素晴らしさ。
木を基調とした暖かみのある部屋は存在感のあるマントルピース、背の高い腰壁、主張しすぎないシャンデリアで飾られている。

大食堂のマントルピース

晩餐会のための部屋で、最大26人のディナーが可能であったといいます。巨大な白大理石のマントルピースが部屋の中核で、その周囲を古典的な文様の唐草紙で飾ります。マントルピースの向かいは円弧状の張り出し窓があり、天井に及ぶチーク材のパネル壁が落ち着いた雰囲気を醸します。
旧小食堂
おとなりは旧小食堂。家族が使っていた食堂で食器棚には小さいながら葡萄の細かい装飾fが施されている。扉の奥から食事が運ばれてくるみたい。

家族のための小食堂です。東庭にテラスを張り出し、全面にカットガラスをはめた扉にしています。壁一面に食器棚が設えられ、部屋の隅には痴漢の厨房から料理を運ぶための小型エレベーターがありました。
イングルヌック
階段の下の空間もステキ。マントルピースとステンドグラスが見える。

造り付けのソファは創建時からのもの。リーフの装飾も細かい意匠。

暖炉脇の暖かな小さなスペースをイングルヌックと言います。ここでは、大階段の窪みを利用した小さな談話室のような空間で、マントルピースとステンドグラスの窓を備え、造り付けのソファの背上に三連アーチの飾り棚を設けています。
階段室
旧前田家本邸の見事な階段室。
階段室は洋館のみどころのひとつで親柱やステンドグラス、シャンデリアをよくみたい。

装飾の施された立派な親柱。

階段にも細かな装飾。

窓には濃さのちがう黄色を使ったステンドグラスでふんわりとした優しい採光になっている。

2階 家族の住まい
家族が暮らした二階
窓から外を見ると旧前田家本邸の内側が望めます。
外からでは見えないところも手抜きなし。明かり取りの窓がおしゃれ。

旧書斎
旧書斎は外からの見学。この方が写真を撮るには人が入り込まないので好都合。

利為侯の書斎で、邸内でも最も重厚な雰囲気の部屋です。マントルピースのグリルには龍が浮き彫りにされ、ここが高貴な人物の部屋であることを示します。壁は、チーク材のパネルと金唐紙で装飾され、天井もチーク材の鏡板を用い、床は寄木モザイクに絨毯を敷き込みます。机いの背後には書棚が造り付けられています。
シャンデリアとマントルピースを紹介
そのほかの部屋は上手く写真が撮れなかったのでシャンデリアとマントルピースを紹介。
また撮り直しに行きたい。
次女の智意子の部屋
青いタイルのマントルピース

天井の星形の中心飾り

女性的な曲線のマントルピース

十二角形のシャンデリア

書斎の付属室(図書室)として計画された部屋で、壁一面に書棚が作り付けられています。青いタイルのマントルピース、天井の星形の中心飾り、十二角形の変わった意匠のシャンデリアが特徴です。次女の居室として使われていました。
三女の部屋
各部屋ごとに意匠が違うシャンデリアは写真を撮り逃せません。

寝室
どの部屋のマントルピースも立派。

旧前田家本邸の洋館手帖
竣工 | 1929(昭和4)年 |
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設計 | 塚本靖/高橋禎太郎/佐々木岩次郎 |
建物 | 重要文化財(02595) |
所在地 | 東京都目黒区駒場 |
見学情報 | 見学可能(休館日 月・火) |
見学情報
開 館 | 9:00〜16:30 |
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設計 | 月曜日・火曜日、年末年始 |
入場料 | 無料 |
写真撮影 | 可能 |
パンフレット | あり |
駐車場 | 周辺のコインパーキング |
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